2018年1月13日土曜日

追憶の5円玉

例えば遠い場所で何気なく寄ったコンビニの店員さんとか、
電車で向かいに座ったビジネスマンとか、
車で信号待ちをしている時に前を横断する学生さんとか、
そういう人たちとほんの一瞬、同じ空気の中にいた時に、
「あ~、この人とはもう一生会わないんだろうなあ」という
当たり前のことを思うことがあります。

中学を卒業する時に、
青春18切符を使って一人旅をしたのですが、
そんなことを先日母親と話していて、
「俺が帰って来た時に、一番の旅の思い出って何話してた?」と聞いたら、
大阪で鈍行に乗っている時に、向かいのおじさんに話しかけられたことだと。
そこまで聞いてもなかなか思い出せずにいたのですが、
続きを聞いた瞬間、その光景を鮮明に思い出しました。
「ニイチャン、一人で旅行してるのか?それはスゴイな。
これもなにかのご縁や。これ、旅のお守りにとっとき」
おじさんはそう言って、僕に5円玉をくれたのです。
そして中学生の自分が、初めての一人旅を孤独を感じずに楽しめたのは、
あのおじさんが旅の楽しさを教えてくれたからかもしれないと、
その時初めて気づきました。

今日、アートケイさんから今年第一段のU様のカーテンが届きました。
こうしてご縁を頂いたことに感謝して、
あのおじさんの5円玉のように、心の奥底に何かを残せるように、
きっちりお届けしたいと思います。


2018年1月9日火曜日

肝心なところは忘れませんが


メカ物だけでも25台というS様、
台数が多いので確認点や注意点なども多岐にわたります。
少しでも分かりやすいよう
窓のサムネイル写真を入れた一覧表をお作りしたり、
時には設計士さんとお話しして網戸の種類を変えて頂いたりと、
熱量も情報量も薄まらせずにお打合せをさせて頂きました。
発注書も一つ一つ、何度も確認しながら慎重に進めております。
採寸表を何度も見ていたので、
窓の寸法も、ほぼ全て記憶しました(笑)。
我ながら記憶力は衰えていないようです。
今日は月曜日だと思っていましたが(苦笑)



2018年1月8日月曜日

熱波が消してくれたもの

『オーストラリアに熱波』というニュースを見て、
27年前(!)、オーストラリアをバイクで走っていた時のことを
思い出しました。
当時も記録的な熱波が来ていて、昼間の気温が50度を超えていました。
ニュースでは救急車で搬送される人々と、
亡くなった方の数が連日報道されるほど。
私も熱波対策で長袖のパーカーを着ていましたが、
走行風によって袖の部分が知らぬ間にめくれ、
気づくと重度の火傷のように肌がただれていました。

オーストラリアの内陸部は、
走っても走ってもひたすら地平線です。
200キロほど走ると忽然と小さな街が現れますが、
そこから次の街までの200キロは、またひたすら地平線です。
風景の変化は脳に刺激をもたらすのだと、あの時初めて知りました。
何時間も変わらぬ風景と暑さで意識が何度も遠のくからです。
そんな中を1週間ほど走った時、劇的過ぎる変化が訪れました。
地平線の向こうが真っ暗になっていて、
数えきれないほどの雷が落ちているのが見えるのです。
通過した街まで100キロ戻るか、それとも突っ込むか。
勇気を出して突入すると、周囲は暗黒の世界になり、
日本でいう大型台風なみの強風、そして自分の周りをガンガンと落ちる無数の雷。
通過して次の街に着きバイクを降りた時、
自分の手は恐怖で震えていました。
翌日、風で倒されたコンボイが道路を塞いでいましたので、
やはり相当な強さだったのだと思います。
そして、その日もまた同じ目に合うのですが(笑)。
精魂尽き果てて、道路から少し離れたところに10m位の高さの丘を見つけ、
そこでテントを張ろうとしました。
(土の部分は毒グモとかサソリが出るので)
そしてそこに足を踏み入れた瞬間、地面がウワッーと舞い上がりました。
私が地面だと思っていたのは、大量のバッタでした。
でも、もう街まで走る気力もなく…。
とにかく眠りたいという一心でそこで寝ました。
陽が落ちて明かりを付けたら大量のバッタアタックを受けるというおまけ付きで。
もう考える気力が無いので、「はいはい」って寝ましたが(笑)。
そして翌日、やっぱりというかなんというか、
また同じように地平線の向こうが真っ暗になり…。
今でも分からないんですが、
何で3度とも突っ込んだのだろうと。
50度の熱波と嵐の連続で、立っているだけで精一杯だったのに。
ああいう場所にいると、日常的な判断力とは違う世界に入ってしまうのかもしれません。

そこから1週間ほどしてバイクは壊れ、
結局オーストラリア1周は失敗するんですが、
それで良かったのかなと今は思っています。
誰かから「スゴイね」と言われたいがための旅がやめられたのは、
あの熱波のお陰かなと思うんですよね。


2018年1月4日木曜日

お休みの最終日に決まる今年の教訓

新年明けましておめでとうございます。
お休み中は朝の6時に起きて、ひたすら地元の海へ行っていました。
寒さで海面から湯気が立つ中、ウエーダーを履いて海へ入り、
朝日に向かってキャストする爽快感は格別です。
狙っているのはヒラメやマゴチという、フラットフィッシュと言われる魚。
朝まづめの約2時間、小魚を食べにきたところをルアーで狙うのですが、
まあこれがなかなか釣れない釣りで…(涙)。

そんな中、お休み最終日の昨日、ついにやりました!
波がかなり高かったので、
しっかり泳ぐ大き目のルアーで遠投し、
波に合わせてゆっくり目のショートジャーク、
波が下がっている時はカーブフォールでいこうと始めた3投目。
2回目のフォールでゴンッ!と。
上がってきたのは50㎝ほどのマゴチ。
フックを外してゴミ袋に入れ、
(地元民は釣ると自宅へ帰るのでクーラーボックスは持たないのです)
さて帰ろうとおもったその瞬間、
「まだ3投しかしていなし、もうちょっと…」
と、思ったのがダメでした。
波打ち際に袋を下ろして海水を入れようとしたら……逃げちゃった!
こんな時に限って写真も撮っておらず、
釣り好きの息子には「ダセェ~」と言われる始末。
今年の教訓。
「最後まで気を抜かない」
胸に刻み込んで頑張りますので、今年もよろしくお願いします。



2017年12月29日金曜日

年末年始の営業について

誠に勝手ながら
当店は12月30日~1月3日まで年末年始休暇を頂きます。
1月4日からは通常営業となります。
宜しくお願い申し上げます。

Do the right thing

高校バスケットボールの冬の祭典、ウインターカップが終わりました。
初出場の神奈川県代表・厚木東高校は、
ベスト8という素晴らしい結果を残してくれました。
私学がこぞって外国人留学生を入れている今の高校バスケ界で、
外国人はおろか県外選手を入れることも出来ない県立高校が
ベスト8に残るというのは、間違いなく快挙に値します。

強豪私立に県立高校がどう立ち向かうか。
ハードなディフェンスと速攻、
そしてハーフコートオフェンスでも動きを絶やさない全員バスケット。
それは、バスケットをしていた者なら分かっていることです。
でも、40分その動きをすることは無理。
だから選手交代で戦力を落とさないチーム作りが必要。
それも皆、分かっていることです。
でも、誰も出来なかった。
例えば9の戦力を持つ選手を9の戦力のまま輝かせるために、
7の戦力の選手と交代させられるか、
例えば9の戦力を持つ選手が疲れて6に戦力が落ちた時、
7の選手と交代できるか。
これが出来ないんです。
「エースに任せる」と言えば聞こえは良いし、
監督が全責任を負っているような印象になりますが、
実は負けても非難されない選択でもあるからです。
それを厚木東は、交代選手によってチームカラーを変えるという
戦術によって完成させました。
誰もが正しいと思い、そして出来ないと思っていたチーム、
それが厚木東なのです。
監督と選手の努力は並大抵のものではなかったはずです。
東京体育館でその雄姿を見れなかったのは、とても残念でした。

私が観戦に行けたのは厚木東が負けた翌日、
女子の決勝と男子のベスト4の戦いでした。
到着したのはお昼前、女子決勝の第2Q。
大阪桐蔭VS安城学園の試合でした。
福岡大大濠VS福岡第一と言う次の試合をメインにしていた私は、
気軽な気持ちで見始めました。
それが過去10年でもベストゲームと言える試合になるとは思いもせずに。
大阪桐蔭には今大会注目のセンター、竹原選手がいましたが、
安城学園は3人がマークに付く徹底ぶり。
ファールトラブルを誘い、竹原選手をベンチに下げさせます。
エースを失った大阪桐蔭は絶体絶命のピンチでした。
しかし、そこから♯6鈴木選手の無双が始まりるのです。
これまではゲームメイクとパサーに徹していた身長156㎝の小さな選手が、
切れのあるドライブインで果敢にリングに向かい、
少しでもフリーであれば3ポイントを打ち続けます。
それだけなら「良い選手」で終わるのですが、
ドライブインのシュートが外れてからのリバウンド争い、
そして再び鈴木選手に戻ってきたボールを、躊躇なく3ポイントエリアから打つのです。
普通、打てないです。1点差の決勝戦で。
どこかでミスを続けたくないという心理が働いてしまうから。
その後も鈴木選手はドライブインを何度か試みるのですが、
なぜかリングに嫌われてしまいます。
(背の低い選手はブロックを避けるように微妙に打ち方に変化を付けるので
入れるのが難しいのです)
それでも、行く。それでも、打つ。
そして相手に速攻を掛けられれば、後ろからもの凄いスピードでチェイスして、
ドリブルを叩きに行く。
相手チームのワンマン速攻に視界の外から突然現れてきた時は、
「え?今、どこから追いかけてきた?」と目の前で見ている私すら驚くほどでした。
そして、もつれにもつれてダブルオーバータイムに突入にした残り数秒、
鈴木選手にボールが渡ります。
オーバータイム前の試合終了直前には、同点の3ポイントを決めていました。
安城ディフェンスは当然警戒してタイトにつきます。
そこをフェイクからの鋭いドライブイン。
会場の誰もが「来た!」と思いました。
しかしそれを予想していた安城ディフェンスの早いカバー、
でも会場の誰もが「あの選手なら行く!」と思った次の瞬間、
鈴木選手の手はリングではなく、ディフェンスの間を通ってフリーのチームメイトへ。
ドライブインからの初めてのパスは難なくリングに吸い込まれ、
その直後にゲームセットのホイッスルが鳴り響きました。
もう「スラムダンク(漫画)かよ!」って突っ込みを入れたくなるほどでした。
中心選手の竹原選手がいない、
だから中へ切れ込んでかき回すしかない、
でもそれだけは動きを読まれてしまう。
だから外から打ってディフェンスを広げるしかない、
分かっているんです。バスケットをした者なら。
でも、それを1点差の決勝戦で出来るか、
シュートを外しても打ち続けられるか、と言ったら無理です。
事実、試合後にツイッターで検索したら、鈴木選手を絶賛する声がほとんどでした。
(やられている方は「大阪桐蔭の6番」で検索してみてください)

試合後の帰り道、私は独立する前の自分のことを思い出していました。
家具店の中のカーテン売り場を一人でやっていた私には上司がいませんでした。
自分が思ったことをやれる良い面もありましたが、
自分に都合の良い理屈をつけて嫌なことを避けることも出来るという
悪い面もありました。
だから私はずっとある言葉を自分のルールにしてきました。
「Do the right thing」
正しいことをしよう、と。
売場の方針を決める時、
近くにチェーン店が出来て売上が落ち込んだ時、
お客様にご迷惑をかけた時。
私はいつもこの言葉を頭の中で念仏のように唱えながら、
自分がどうするべきかを考え、それに従ってきました。
自分が決めると、自分に都合の良い結論を出してしまうから。
そしてそれは、今も変わりません。

来年、厚木東や鈴木選手のように、
人の心に届く正しさを持てるように、今まで以上に頑張っていきたいと思います。
今年一年、本当にありがとうございました。

2017年12月23日土曜日

S様、準備完了です


明日はS様の納品日です。
納品するのは、今年当店でとても人気のあった生地。
2つのパターンでスタッフがご提案し、
その内の1つをご採用頂きました。
どんな生地が合うか、それをどう合わせるか、
それはお客様のイメージと合っているか…
色々なことを考えながらプランを決めていきます。
これまでも、これからも、
一つ一つ丁寧にやっていきたいと思っています。

2017年12月22日金曜日

W様、準備完了です



明日はW様の納品です。
当店はご紹介のお客様が多いのですが、
W様もそうでした。
本当にありがたく思います。
クラシック柄のドレープに絵羽柄レースという
正統派クラシック仕様、
そして敢えて異なる柄物のロールスクリーンという組み合わせ。
きっとご満足いただける仕上がりになると思います。
明日、よろしくお願いします。







2017年12月20日水曜日

一見、簡単そうで…

今年の年末はメカ物のお客様が多かったのですが、
明日工事にお伺いするM様も、ほぼ全室がメカ物です。
唯一カーテンをお納めするのは、
これまでお使いになっていたものをリフォームすることになりました。
こちらは加工所への指示書。
普通に考えると出来そうなことが、
出来なかったりするのがカーテンのリフォーム。
今回も山数やピッチを測っていなかったら、
「出来ます」と答えてしまいそうな内容でした。
実際には複雑な指示が必要な内容ですので、
加工所さんへの指示書も絵を交えてのものになります。
クリーニングも同時にお願いしていますので、
きっと喜んで頂ける仕上がりになっていると思います。
明日、よろしくお願いします。

2017年12月19日火曜日

違和感を出さないために

こちらは昨日工事に伺ったY様の現場。
バルコニー床の方が滑り出し窓より、
床から窓上までの高さが122㎜高くなっています。
バルコニー窓の少ない窓上の壁面に付けても違和感が無く、
滑り出し窓のレールを上げ過ぎない位置、を条件に
スタッフが取付位置を決めました。
もし、この2つの窓が同じ壁面に並んでいたら、
また答えは違っていると思います。


こちらは本日工事にお伺いしたU様の現場。
奥の窓の窓上は107㎜、手前は125㎜あります。
これはバルコニーの水勾配が影響しています。
通常、私たちカーテン屋がレールの取付位置を決める時は、
「窓の上端から〇〇㎜上にビスを打つ」と指定します。
でも、このようなケースの場合、
その方法だとレールの高さが変わってしまいます。
天井まで近いだけに目立ってしまうでしょう。
そこで2つの窓共に天井際に付けしています。
部屋の長手側にある窓のため下地が無い可能性が高いので、
(天井の桟は長手に流していることが多い)
ブラケットは逆Lタイプを使用して縦桟に付けています。
終わってみれば、「ただ付いただけ」なんですが(笑)。
お客様に「これって、こうなってしまうんですか?」と
言われないこと。
そのためには慎重な採寸と施工が必要なのです。





2017年12月18日月曜日

相棒リターンズ

車検に出していた車が三日ぶりに戻ってきました。
今の車ってスゴイんですね。
ガソリンが全然減らないんです。
燃費を測ったら16キロ/ℓでした。
私のエブリーは10キロ/ℓ。
年間4万キロ走るので月に3333キロ。
新型だと3333÷16×ガソリン代135円=28122円
私のだと3333÷10×ガソリン代135円=44995円
差額何と16,873円!
帰り際にディーラーさんに並んでいる新型エブリーを何気に見たら、
「月々17500円」と書いてありました。
ちょっ~~!!
追い打ちをかけるように営業マンから
「これ免税になって、自動車保険も安くなります」
ちょっ~~!!
というワケで、167000キロ走った我がエブリーが戻ってきました。
車検費用151000円也。















復帰後最初の工事はU様。
窓数が多いのでお時間もちょっと長めにかかりますが、
相棒と共に気合を入れて伺います。



2017年12月17日日曜日

臨時会議


明日はY様のレール先行工事です。
工事にあたり、スタッフと相談をしたのは
装飾レールの取付高さ。
当店ではいくつかのパターンで基準を設けていますが、
これはあくまでも基準であり、
全ての現場に当てはまるわけではありません。
似たようなケースでも、異なる結論を出すこともあります。
現場の写真を何度も見ながら、
2つの窓に綺麗に収まる位置を㎜単位で考えていきます。
Y様のマイホームにかける思いに負けないよう、
私たちも真剣です。

2017年12月16日土曜日

合う、合わない


明日はA様の取付工事日です。
お納めするのは
今年、当店でとても人気のあった生地の一つ。
でもレースは初めての組み合わせです。
事前にお部屋を拝見してイメージをお聞きし、
それに沿う仕上がりになるようにご提案しました。
ドレープとレースの組み合わせは、
生地の柄や素材感だけではありません。
「このドレープならこれが合います」と言って
ご提案するのは簡単かもしれませんが、
それだけなら、私たちは要らないかもしれません。
そんなことを、ブラインドの箱がアップになった写真を使いながら
語るのは変かもしれませんが(笑)