『オーストラリアに熱波』というニュースを見て、
27年前(!)、オーストラリアをバイクで走っていた時のことを
思い出しました。
当時も記録的な熱波が来ていて、昼間の気温が50度を超えていました。
ニュースでは救急車で搬送される人々と、
亡くなった方の数が連日報道されるほど。
私も熱波対策で長袖のパーカーを着ていましたが、
走行風によって袖の部分が知らぬ間にめくれ、
気づくと重度の火傷のように肌がただれていました。
オーストラリアの内陸部は、
走っても走ってもひたすら地平線です。
200キロほど走ると忽然と小さな街が現れますが、
そこから次の街までの200キロは、またひたすら地平線です。
風景の変化は脳に刺激をもたらすのだと、あの時初めて知りました。
何時間も変わらぬ風景と暑さで意識が何度も遠のくからです。
そんな中を1週間ほど走った時、劇的過ぎる変化が訪れました。
地平線の向こうが真っ暗になっていて、
数えきれないほどの雷が落ちているのが見えるのです。
通過した街まで100キロ戻るか、それとも突っ込むか。
勇気を出して突入すると、周囲は暗黒の世界になり、
日本でいう大型台風なみの強風、そして自分の周りをガンガンと落ちる無数の雷。
通過して次の街に着きバイクを降りた時、
自分の手は恐怖で震えていました。
翌日、風で倒されたコンボイが道路を塞いでいましたので、
やはり相当な強さだったのだと思います。
そして、その日もまた同じ目に合うのですが(笑)。
精魂尽き果てて、道路から少し離れたところに10m位の高さの丘を見つけ、
そこでテントを張ろうとしました。
(土の部分は毒グモとかサソリが出るので)
そしてそこに足を踏み入れた瞬間、地面がウワッーと舞い上がりました。
私が地面だと思っていたのは、大量のバッタでした。
でも、もう街まで走る気力もなく…。
とにかく眠りたいという一心でそこで寝ました。
陽が落ちて明かりを付けたら大量のバッタアタックを受けるというおまけ付きで。
もう考える気力が無いので、「はいはい」って寝ましたが(笑)。
そして翌日、やっぱりというかなんというか、
また同じように地平線の向こうが真っ暗になり…。
今でも分からないんですが、
何で3度とも突っ込んだのだろうと。
50度の熱波と嵐の連続で、立っているだけで精一杯だったのに。
ああいう場所にいると、日常的な判断力とは違う世界に入ってしまうのかもしれません。
そこから1週間ほどしてバイクは壊れ、
結局オーストラリア1周は失敗するんですが、
それで良かったのかなと今は思っています。
誰かから「スゴイね」と言われたいがための旅がやめられたのは、
あの熱波のお陰かなと思うんですよね。
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