2018年1月26日金曜日

そのスライダーをスタンドへ

10時間の工事が終わり、
自宅でビール(正確には発泡酒)を飲みながら食事をしていると、
次男が泊まりに来ている友人とリビングに来た。
「コイツも野球部なんだよ」
「あ~、そうなんだ。夏の試合も出てたの?」
「いや~それが…」
ずっと4番を打っていたそうだが、
色々あって最後の大会はスタメン落ちしてしまったらしい。
彼のチームの4番は今年プロ入りしたH君だったから、
その実力は相当なものだろう。
実際、あの甲子園を沸かせた広島のK高校との練習試合でも
4番として5打数3安打だったそうだ。
「卒業後はどうするの?」
「大学で野球やります。××大学で」
「それはスゴイ。大学って全国から有名な選手が集まるけど、
意外と強豪校の選手は伸び悩むから十分チャンスあるよ」
「そうですかね」
「絶対ある。目にもの見せてやろう」
「そうっすね」

大学でスポーツを出来る人は選ばれた人たちだ。
実力はもちろんのこと、
高校時代に嫌になるほど練習をして、
毎日毎日やめてやると思いながら歯を食いしばり、
友人たちの楽しかった休日の話や話題のテレビの話にはついていけず、
卒業が近くなると「俺の高校生活は部活しかなかったな」と後悔し、
それでも尚、あと4年間それを続けるんだという強い意志を持つ者だけが、
大学でスポーツをする権利を有せる。
それは自分を信じる力だと思う。
だからもし、その選択が既に決まったことなのだとしたら、
そんな勇者に他人ができるのは、応援することだけだ。
その意思が間違えではないと(本当はその選択が人生を変えるほどの失敗になるリスクがあることを知ってはいても)、言ってあげることだと思う。
「東都ならきっとスカウトも来る。それは君じゃなく、他の選手かもしれない。
例えばそういうピッチャーがいてさ、その決め球のスライダーをスパーン!と
オリックスの吉田みたいな打球でスタンドに運んでさ、」
「おれ、吉田大好きです」
「最高だよな~。で、そしたらさ、ネット裏のスカウトが…」
「誰だあれ、みたいな?」
「そうそう」
彼の4年間の原動力が、苦い思い出ではなく、
夢に向かうものであるように切に願う。


2018年1月24日水曜日

真剣に考えないと見えてこないもの

こちらはA様のリビング。
手前のFIXと奥の掃き出し窓は高さが180㎜違います。
大きい窓の方が高いのであれば良いのですが、
今回は小さい窓(手前のFIX)の方が高かったので、
奥の掃き出し窓のレールを高めに付けて生地の上端を合わせました。
パッと見た時に違和感を感じないというのは
私たちがプランを作る時にとても気にする点で、
そこに気づくかどうかは経験が必要です。
正確には、経験だけではなく、
その現場を自宅と同じくらい真剣に考えられるかの方が
重要かもしれません。
真剣に考えないと見えてこないものって、現場にはあるんですよね。

2018年1月21日日曜日

どちらかを捨てることなく

T様にお選びいただいたのはフランス製の刺繍生地。
ほぼ工芸品に近いクオリティです。
スタッフがお部屋のイメージをお聞きし、
ご主人と奥様のお二人に気に入って頂ける生地をと、
ご提案しました。
ご夫婦でイメージが異なるケースは珍しくないのですが
(と言うよりも、その方が多いかも)
どちらかお一人のご希望を選ぶのではなく、
お二人に気に入って頂けるように心がけています。
カーテンは最後の仕上げですので、
心残りのある終わり方は
家づくりのストーリーのエンディングには相応しくありません。
きっと素晴らしいお部屋になると思います。
出来上がりを楽しみにお待ちください。


2018年1月20日土曜日

リネンのカーテンフェア

本日から2月18日まで、
麻のカーテンの人気ブランド「リフリン(Lif/Lin)の
フェアを開催中です。
期間中は全柄の長いサンプルを展示しておりますので、
麻独特の風合いをご覧頂けます。
また、サンプルをご自宅にお持ちしての「生地合わせ」も
しておりますので、
是非この機会にご来店ください。

2018年1月16日火曜日

ハードもソフトも

こちらは昨年の現調時に撮影したN様の現場。
正面の滑り出し窓はオペレーターハンドルがあるので
窓枠の中にメカ物を付けることは出来ません。
必然的に正面付けとなり、窓枠から少し長めに出てきます。
もしここで右の腰高窓のレール普通に付けると…
エアコンが入らない事態になります。
しかし、滑り出し窓を正面付けすると
今度は左側のクローゼットの扉が全開にならない可能性が…。
こちらは扉が付いてから現物を持って行って確認です。
こうした見逃しがちな点をお客様に代わってカバーするのが
私たちの専門家の仕事でもあります。
そして最も重要なププランニングは、
N様から全幅の信頼を頂いたスタッフが
きっちりとご提案をさせて頂きました。
既にリビングの北欧生地も製作にかかっております。
出来上がりを楽しみにお待ちください。



2018年1月13日土曜日

追憶の5円玉

例えば遠い場所で何気なく寄ったコンビニの店員さんとか、
電車で向かいに座ったビジネスマンとか、
車で信号待ちをしている時に前を横断する学生さんとか、
そういう人たちとほんの一瞬、同じ空気の中にいた時に、
「あ~、この人とはもう一生会わないんだろうなあ」という
当たり前のことを思うことがあります。

中学を卒業する時に、
青春18切符を使って一人旅をしたのですが、
そんなことを先日母親と話していて、
「俺が帰って来た時に、一番の旅の思い出って何話してた?」と聞いたら、
大阪で鈍行に乗っている時に、向かいのおじさんに話しかけられたことだと。
そこまで聞いてもなかなか思い出せずにいたのですが、
続きを聞いた瞬間、その光景を鮮明に思い出しました。
「ニイチャン、一人で旅行してるのか?それはスゴイな。
これもなにかのご縁や。これ、旅のお守りにとっとき」
おじさんはそう言って、僕に5円玉をくれたのです。
そして中学生の自分が、初めての一人旅を孤独を感じずに楽しめたのは、
あのおじさんが旅の楽しさを教えてくれたからかもしれないと、
その時初めて気づきました。

今日、アートケイさんから今年第一段のU様のカーテンが届きました。
こうしてご縁を頂いたことに感謝して、
あのおじさんの5円玉のように、心の奥底に何かを残せるように、
きっちりお届けしたいと思います。


2018年1月9日火曜日

肝心なところは忘れませんが


メカ物だけでも25台というS様、
台数が多いので確認点や注意点なども多岐にわたります。
少しでも分かりやすいよう
窓のサムネイル写真を入れた一覧表をお作りしたり、
時には設計士さんとお話しして網戸の種類を変えて頂いたりと、
熱量も情報量も薄まらせずにお打合せをさせて頂きました。
発注書も一つ一つ、何度も確認しながら慎重に進めております。
採寸表を何度も見ていたので、
窓の寸法も、ほぼ全て記憶しました(笑)。
我ながら記憶力は衰えていないようです。
今日は月曜日だと思っていましたが(苦笑)



2018年1月8日月曜日

熱波が消してくれたもの

『オーストラリアに熱波』というニュースを見て、
27年前(!)、オーストラリアをバイクで走っていた時のことを
思い出しました。
当時も記録的な熱波が来ていて、昼間の気温が50度を超えていました。
ニュースでは救急車で搬送される人々と、
亡くなった方の数が連日報道されるほど。
私も熱波対策で長袖のパーカーを着ていましたが、
走行風によって袖の部分が知らぬ間にめくれ、
気づくと重度の火傷のように肌がただれていました。

オーストラリアの内陸部は、
走っても走ってもひたすら地平線です。
200キロほど走ると忽然と小さな街が現れますが、
そこから次の街までの200キロは、またひたすら地平線です。
風景の変化は脳に刺激をもたらすのだと、あの時初めて知りました。
何時間も変わらぬ風景と暑さで意識が何度も遠のくからです。
そんな中を1週間ほど走った時、劇的過ぎる変化が訪れました。
地平線の向こうが真っ暗になっていて、
数えきれないほどの雷が落ちているのが見えるのです。
通過した街まで100キロ戻るか、それとも突っ込むか。
勇気を出して突入すると、周囲は暗黒の世界になり、
日本でいう大型台風なみの強風、そして自分の周りをガンガンと落ちる無数の雷。
通過して次の街に着きバイクを降りた時、
自分の手は恐怖で震えていました。
翌日、風で倒されたコンボイが道路を塞いでいましたので、
やはり相当な強さだったのだと思います。
そして、その日もまた同じ目に合うのですが(笑)。
精魂尽き果てて、道路から少し離れたところに10m位の高さの丘を見つけ、
そこでテントを張ろうとしました。
(土の部分は毒グモとかサソリが出るので)
そしてそこに足を踏み入れた瞬間、地面がウワッーと舞い上がりました。
私が地面だと思っていたのは、大量のバッタでした。
でも、もう街まで走る気力もなく…。
とにかく眠りたいという一心でそこで寝ました。
陽が落ちて明かりを付けたら大量のバッタアタックを受けるというおまけ付きで。
もう考える気力が無いので、「はいはい」って寝ましたが(笑)。
そして翌日、やっぱりというかなんというか、
また同じように地平線の向こうが真っ暗になり…。
今でも分からないんですが、
何で3度とも突っ込んだのだろうと。
50度の熱波と嵐の連続で、立っているだけで精一杯だったのに。
ああいう場所にいると、日常的な判断力とは違う世界に入ってしまうのかもしれません。

そこから1週間ほどしてバイクは壊れ、
結局オーストラリア1周は失敗するんですが、
それで良かったのかなと今は思っています。
誰かから「スゴイね」と言われたいがための旅がやめられたのは、
あの熱波のお陰かなと思うんですよね。


2018年1月4日木曜日

お休みの最終日に決まる今年の教訓

新年明けましておめでとうございます。
お休み中は朝の6時に起きて、ひたすら地元の海へ行っていました。
寒さで海面から湯気が立つ中、ウエーダーを履いて海へ入り、
朝日に向かってキャストする爽快感は格別です。
狙っているのはヒラメやマゴチという、フラットフィッシュと言われる魚。
朝まづめの約2時間、小魚を食べにきたところをルアーで狙うのですが、
まあこれがなかなか釣れない釣りで…(涙)。

そんな中、お休み最終日の昨日、ついにやりました!
波がかなり高かったので、
しっかり泳ぐ大き目のルアーで遠投し、
波に合わせてゆっくり目のショートジャーク、
波が下がっている時はカーブフォールでいこうと始めた3投目。
2回目のフォールでゴンッ!と。
上がってきたのは50㎝ほどのマゴチ。
フックを外してゴミ袋に入れ、
(地元民は釣ると自宅へ帰るのでクーラーボックスは持たないのです)
さて帰ろうとおもったその瞬間、
「まだ3投しかしていなし、もうちょっと…」
と、思ったのがダメでした。
波打ち際に袋を下ろして海水を入れようとしたら……逃げちゃった!
こんな時に限って写真も撮っておらず、
釣り好きの息子には「ダセェ~」と言われる始末。
今年の教訓。
「最後まで気を抜かない」
胸に刻み込んで頑張りますので、今年もよろしくお願いします。



2017年12月29日金曜日

年末年始の営業について

誠に勝手ながら
当店は12月30日~1月3日まで年末年始休暇を頂きます。
1月4日からは通常営業となります。
宜しくお願い申し上げます。

Do the right thing

高校バスケットボールの冬の祭典、ウインターカップが終わりました。
初出場の神奈川県代表・厚木東高校は、
ベスト8という素晴らしい結果を残してくれました。
私学がこぞって外国人留学生を入れている今の高校バスケ界で、
外国人はおろか県外選手を入れることも出来ない県立高校が
ベスト8に残るというのは、間違いなく快挙に値します。

強豪私立に県立高校がどう立ち向かうか。
ハードなディフェンスと速攻、
そしてハーフコートオフェンスでも動きを絶やさない全員バスケット。
それは、バスケットをしていた者なら分かっていることです。
でも、40分その動きをすることは無理。
だから選手交代で戦力を落とさないチーム作りが必要。
それも皆、分かっていることです。
でも、誰も出来なかった。
例えば9の戦力を持つ選手を9の戦力のまま輝かせるために、
7の戦力の選手と交代させられるか、
例えば9の戦力を持つ選手が疲れて6に戦力が落ちた時、
7の選手と交代できるか。
これが出来ないんです。
「エースに任せる」と言えば聞こえは良いし、
監督が全責任を負っているような印象になりますが、
実は負けても非難されない選択でもあるからです。
それを厚木東は、交代選手によってチームカラーを変えるという
戦術によって完成させました。
誰もが正しいと思い、そして出来ないと思っていたチーム、
それが厚木東なのです。
監督と選手の努力は並大抵のものではなかったはずです。
東京体育館でその雄姿を見れなかったのは、とても残念でした。

私が観戦に行けたのは厚木東が負けた翌日、
女子の決勝と男子のベスト4の戦いでした。
到着したのはお昼前、女子決勝の第2Q。
大阪桐蔭VS安城学園の試合でした。
福岡大大濠VS福岡第一と言う次の試合をメインにしていた私は、
気軽な気持ちで見始めました。
それが過去10年でもベストゲームと言える試合になるとは思いもせずに。
大阪桐蔭には今大会注目のセンター、竹原選手がいましたが、
安城学園は3人がマークに付く徹底ぶり。
ファールトラブルを誘い、竹原選手をベンチに下げさせます。
エースを失った大阪桐蔭は絶体絶命のピンチでした。
しかし、そこから♯6鈴木選手の無双が始まりるのです。
これまではゲームメイクとパサーに徹していた身長156㎝の小さな選手が、
切れのあるドライブインで果敢にリングに向かい、
少しでもフリーであれば3ポイントを打ち続けます。
それだけなら「良い選手」で終わるのですが、
ドライブインのシュートが外れてからのリバウンド争い、
そして再び鈴木選手に戻ってきたボールを、躊躇なく3ポイントエリアから打つのです。
普通、打てないです。1点差の決勝戦で。
どこかでミスを続けたくないという心理が働いてしまうから。
その後も鈴木選手はドライブインを何度か試みるのですが、
なぜかリングに嫌われてしまいます。
(背の低い選手はブロックを避けるように微妙に打ち方に変化を付けるので
入れるのが難しいのです)
それでも、行く。それでも、打つ。
そして相手に速攻を掛けられれば、後ろからもの凄いスピードでチェイスして、
ドリブルを叩きに行く。
相手チームのワンマン速攻に視界の外から突然現れてきた時は、
「え?今、どこから追いかけてきた?」と目の前で見ている私すら驚くほどでした。
そして、もつれにもつれてダブルオーバータイムに突入にした残り数秒、
鈴木選手にボールが渡ります。
オーバータイム前の試合終了直前には、同点の3ポイントを決めていました。
安城ディフェンスは当然警戒してタイトにつきます。
そこをフェイクからの鋭いドライブイン。
会場の誰もが「来た!」と思いました。
しかしそれを予想していた安城ディフェンスの早いカバー、
でも会場の誰もが「あの選手なら行く!」と思った次の瞬間、
鈴木選手の手はリングではなく、ディフェンスの間を通ってフリーのチームメイトへ。
ドライブインからの初めてのパスは難なくリングに吸い込まれ、
その直後にゲームセットのホイッスルが鳴り響きました。
もう「スラムダンク(漫画)かよ!」って突っ込みを入れたくなるほどでした。
中心選手の竹原選手がいない、
だから中へ切れ込んでかき回すしかない、
でもそれだけは動きを読まれてしまう。
だから外から打ってディフェンスを広げるしかない、
分かっているんです。バスケットをした者なら。
でも、それを1点差の決勝戦で出来るか、
シュートを外しても打ち続けられるか、と言ったら無理です。
事実、試合後にツイッターで検索したら、鈴木選手を絶賛する声がほとんどでした。
(やられている方は「大阪桐蔭の6番」で検索してみてください)

試合後の帰り道、私は独立する前の自分のことを思い出していました。
家具店の中のカーテン売り場を一人でやっていた私には上司がいませんでした。
自分が思ったことをやれる良い面もありましたが、
自分に都合の良い理屈をつけて嫌なことを避けることも出来るという
悪い面もありました。
だから私はずっとある言葉を自分のルールにしてきました。
「Do the right thing」
正しいことをしよう、と。
売場の方針を決める時、
近くにチェーン店が出来て売上が落ち込んだ時、
お客様にご迷惑をかけた時。
私はいつもこの言葉を頭の中で念仏のように唱えながら、
自分がどうするべきかを考え、それに従ってきました。
自分が決めると、自分に都合の良い結論を出してしまうから。
そしてそれは、今も変わりません。

来年、厚木東や鈴木選手のように、
人の心に届く正しさを持てるように、今まで以上に頑張っていきたいと思います。
今年一年、本当にありがとうございました。

2017年12月23日土曜日

S様、準備完了です


明日はS様の納品日です。
納品するのは、今年当店でとても人気のあった生地。
2つのパターンでスタッフがご提案し、
その内の1つをご採用頂きました。
どんな生地が合うか、それをどう合わせるか、
それはお客様のイメージと合っているか…
色々なことを考えながらプランを決めていきます。
これまでも、これからも、
一つ一つ丁寧にやっていきたいと思っています。

2017年12月22日金曜日

W様、準備完了です



明日はW様の納品です。
当店はご紹介のお客様が多いのですが、
W様もそうでした。
本当にありがたく思います。
クラシック柄のドレープに絵羽柄レースという
正統派クラシック仕様、
そして敢えて異なる柄物のロールスクリーンという組み合わせ。
きっとご満足いただける仕上がりになると思います。
明日、よろしくお願いします。