昔、オーストラリアに居た頃、
ウイークリーのオンボロアパートに住んでいて、
そこには小さな共用キッチンがありました。
ある日僕がそこで肉じゃがを作っていたら、
落し蓋を見たオーストラリア人がビックリしながら僕を見て、
「お前、蓋食うのか?」と聞いてきました。
僕は「時々、ちゃんとした日本食が食べたくなるからさ。
こうすると味が全部にいき渡って美味しいんだよ」と言おうとして、
「Sometimes…」とまで言った後、「ちゃんした日本食」って英語で何で言うんだ?と考えてしまい、
気づいた時にはその人は首をかしげながら去って行くところで、
結局僕は「時々、蓋を食うヤツ」ってことが確定してしまったのですが、
まあ例え日本語でも、「相手がしたことがない事」を説明するのは難しいんですよね。
さて今日は取引先工務店の依頼で取付工事に行ってきました。
カーテンボックスにリフォーム前に使っていたレールを取り付けるという、
誰もが簡単にイメージできる説明不要の非常に簡単なお仕事です。
で、こういう現場に限って落とし穴ってあるもので…
再塗装されたカーテンボックスの天井にうっすら見える穴位置と
レールの穴位置を合わせてビスを打ったところ、何と効かない!
キリを入れてもそのままズボッと奥まで入ってしまいます。
ワンプッシュで他の穴もチェックしましたが全て同じ。
どうも3~5㎜の薄ベニヤで出来ているみたいで、
どこを打ってもダメなようです。
良く今まで落ちなかったなと思いつつ、ボックス内を見ていると
既にビスを打った形跡のある穴を2つ発見。
どうやら誰かに頼んで取付ができず、困って僕の所にきたようです。
確かにこの状況では「付かないよ」って断るでしょう。
僕もそう言いたいところですが、ここからが「読み」の始まりです。
以下、窓を見ながら私の独り言。
窓は1間半が2つのL型かあ。
カーテンボックスの天井にベニヤを貼るのなら、最低でも2730㎜は必要だよな。
でも、そんな板はないからサブロク板(幅3尺×長さ6尺)を切って貼るしかないだろ。
ってことは2770㎜のボックスに使うなら、短手を使えば910㎜が3枚+チョットが必要だよな。
そうすると、その板の間には桟が必要じゃないか?
でないと開いちゃうし。
どれどれ。
継ぎ目見~っけ!
てことで予想通り910㎜ピッチで桟が入っており、
そこに合わせてレールに新たに穴をあけて無事に取付終了。
「無事に付きましたよ~」と監督さんに電話をしたら
とてもホッとした声をしていました。
良かった良かった。
そういえば以前、同業者と工事の話をした時に、
「どんな工事が得意なの?」って聞かれて
「極力、アンカーを使わない工事かなあ」って言った時の事を思い出しました。
あの時の職人さん、「お前蓋食うんか?」って聞いてきたオーストラリア人と同じ顔をしていました。
「お前、石膏ボードに打つんか?」
いやだからそうじゃなくて…(笑)