あれは確か3年前の冬の全国大会だったと思う。
僕がファンのM高校は準決勝まで勝ち進んでいて、
ついに念願の全国制覇を果たせるのではないかと注目が集まっていた。
会場について練習風景を見た時、
最初に目がいったのは長身のキャプテンだった。
線は細く、お世辞にも運動神経が良いようには見えなかった。
大人しい性格なのか、チームを引っ張るような印象もなく、
失礼ながら「彼がキャプテンなのか?」と思ったのを覚えている。
メンバー表には「S監督の下で熱いバスケットがしたかった」と書いてあった。
試合が始まると、ほぼその予感は的中していた。
頑張っているというより「必死」に近い。
とにかく全力でディフェンスし、リバウンドに飛び、
誰よりも早く速攻に走ってはいるものの、ボールはなかなか回ってこない。
見ていてとてももどかしく、気付くと彼から目が離せなくなっていた。
「事件」が起きたのは第3Q。
相手の早いドリブルに並走した彼は、我慢できずについ手を出した。
「バカ!そこ我慢だ!」
僕は思わず声が出てしまった。
並走するオフェンスに対して手を出してボールを取りにいくというのは最悪のディフェンス。
多くのチームでは、並走状態から脚をグンと伸ばして相手と正対し、
オフェンスファールをもらう練習を死ぬほどさせられる。
冗談ではなく、死ぬほど。
だからこれが成功すると選手もベンチもとっても盛り上がる。
少しでも体が斜めだとディフェンスファールになるのだが、
それでも「惜しい」とは言われずに「バカ野郎!」と言われる。
ましてや手を出すなど……。
当然のようにディフェンスファールとなり、S監督は烈火の如く怒っていた。
「だろうな…」とつぶやいた直後、彼はベンチに下げさせられた。
ベンチで彼はタオルを被りうなだれている。
あれだけ練習してきたのに、
最後の大会でもっともやってはいけないことをやってしまった。
バスケの観客席には現役選手か経験者しかいない。
僕の周りの観客も皆、彼の心中が分かって沈黙していた。
勝ちたい気持ちのあまり、つい手が出てしまったことは分かっていたから。
試合は接戦のまま第4Qへ。
そして、2度と出してもらえないだろうと誰もが思っていた彼は出てきた。
数分後、さっきと同じ位置からマークマンの早いドリブル。
並走する。
僕以外の誰かも叫んだ。
「入れ!」
入った。ドリブラーに押し倒される彼。
ファールを告げる甲高いホイッスル。
静まり返る会場。
…………………
「ファール!オフェンス!チャージング!」
もう、会場は大騒ぎ。
起き上がって全力で走り始めた彼は、
S先生の前を通り過ぎた時、チラッと先生を見た。
「これで良いんですよね?」と目が言っていた。
S先生は手を叩いて激励している。
そしてこの年、この大人しくて皆についていくのが必死なキャプテンに導かれて、
M高校は初の全国優勝を果たした。
学生時代にスポーツをしていて、
それも毎日やめたいと思うほどの辛い練習を重ねて、
梅雨時になれば今でも膝が痛むようなことになっても、
今でも僕はやってよかったと思っている。
それは多分、僕にも彼のような(そんなレベルの高い話ではないけど)、
そんな瞬間があったからだと思う。
マジックジョンソンは引退会見で確かこんなことを言っていた。
「自分の人生を振り返った時、
あの時、あの瞬間は最高だったと言える時を持っている人は幸せだ」
スポーツはそのチャンスを僕のような普通の人間にも与えてくれた。
彼、元気かな。
そして、友人の息子が野球を辞めませんように…。
2013年7月7日日曜日
2013年7月4日木曜日
Uuuuuuuuu----- Life!!
今日はスタッフと共に、カーテンメーカー「スミノエ」の新作発表会に行ってきました。
いや~素晴らしい。
ここ数年に出された全カーテンメーカーのカタログの中でも、
トップ5(順不同)に入るのではないでしょうか。
説明会を聞きながら心臓がドキドキしたのなんて久しぶりです。
モダン一辺倒の「モードS」に対し、「Ulife」をどこまで突き抜けたものにするか、
スミノエは迷っていたような気がします。
総合としての匂いを半分くらいは残しておいた方が良いんじゃないか?と。
それが、決してエキセントリックに走ることなく、
でもしっかりとデザイナーの意志を感じるファブリックの集合体となって
完結した感じがします。
前回の「Ulife」で投げた小石が静かに広がって、大きな波紋になったような。
そして感じるのは、こうしたデザイン性の高いカタログにGoサインを出した
企業としてのスミノエの素晴らしさです。
ここ数年、お客様のインテリアに対する意識は非常に高くなっています。
「ご予算がある方が高いものを買う」のではない消費行動が確実に存在します。
そうした変化を嗅ぎ取って、
デザイナーと営業とのバランスをどう取るか?という変革が
絶妙だったのではないでしょうか。
もしそうならば、デザイナーではなくスミノエという会社の成果だと思います。
一部の高級ゾーンをターゲットにした海外メーカーではなく、
マスをターゲットにする日本のカーテンメーカーがどうあるべきか、
モードSとUlifeは指し示しているような気がします。
2013年7月2日火曜日
逃げる柱を追いかける
昨日伺った現場です。
採寸時、いつものように壁の「裏側を見て」対応しました。
W2560×H2104のベランダ窓がW2780×H2190に、
とW1658×H1120の窓がW1860×H1120の仕上がり寸になるまでのお話しです。
腰高窓の寸法は1658㎜。
まずこの時点で「ん?」と感じます。
通常、一間(柱の中心~中心までが1820㎜)の場合、
1820-52.5(105㎜の柱の半分)-52.5(柱の半分)-12.5(石膏ボード)-12.5(石膏ボード)=1690㎜
となります。在来工法の窓の外寸が1690㎜なのにはワケがあるのです。
窓から入隅までは965㎜、計画換気までは195㎜ありました。
計画換気は柱に「抱かせて」固定していますので、
窓が柱から若干「逃げている」ことになります。
そこでビスが効く位置までレールの出幅を通常より長くとることにしました。
ベランダ窓は「逃げて」いませんでしたが、
腰高窓と同じ長さだけレールを長めににして合わせています。
窓の高さは腰高窓が100㎜低かったので、
レールの高さも合わせました。
カーテンは当店スタッフ渡邉がバッチリ合わせてくれました。
ホワイト地にグレーのドットのカジュアルモダンなカーテンに、
同じ色の組み合わせのエリートMキャップ。
様々な要素をキッチリ計算して一つのお部屋が出来上がります。
採寸時、いつものように壁の「裏側を見て」対応しました。
W2560×H2104のベランダ窓がW2780×H2190に、
とW1658×H1120の窓がW1860×H1120の仕上がり寸になるまでのお話しです。
腰高窓の寸法は1658㎜。
まずこの時点で「ん?」と感じます。
通常、一間(柱の中心~中心までが1820㎜)の場合、
1820-52.5(105㎜の柱の半分)-52.5(柱の半分)-12.5(石膏ボード)-12.5(石膏ボード)=1690㎜
となります。在来工法の窓の外寸が1690㎜なのにはワケがあるのです。
窓から入隅までは965㎜、計画換気までは195㎜ありました。
計画換気は柱に「抱かせて」固定していますので、
窓が柱から若干「逃げている」ことになります。
そこでビスが効く位置までレールの出幅を通常より長くとることにしました。
ベランダ窓は「逃げて」いませんでしたが、
腰高窓と同じ長さだけレールを長めににして合わせています。
窓の高さは腰高窓が100㎜低かったので、
レールの高さも合わせました。
カーテンは当店スタッフ渡邉がバッチリ合わせてくれました。
ホワイト地にグレーのドットのカジュアルモダンなカーテンに、
同じ色の組み合わせのエリートMキャップ。
様々な要素をキッチリ計算して一つのお部屋が出来上がります。
2013年6月21日金曜日
追加分の柄位置を合わせる
既に掃き出し窓を納品させて頂いたY様の追加分です。
左側の開口部はDVDを置くスペースになっており、
その目隠しとして同じ生地を追加でご注文頂きました。
少し間口が広いのですが、
↓のブログ同様、左側は壁面ブラケットを使っています。
追加分は既に納品したカーテンと隣り合わせですので、
事前にカーテン上部のアップ写真を撮ってゴトー君に送り、
同じ柄で始まるように(柄位置がずれないように)作っています。
2013年6月17日月曜日
小さな違いが重要です
レースの掛け替えの現場です。
採寸時に今ついているレースを拝見すると
山の裾だけを「叩く」縫製仕様になっていました。
無地のボイルレースですが、裾はウエイト巻ロックではなく折り返し。
「ちょっと長いな」と思って測ると12㎝ありました。
お客様と相談の上、
山に関しては今と似た仕様、裾は同じ仕様で作ることにしました。
あまり一般的ではない作り方ですが、
このレースとお部屋に合った方法だと思います。
お客様は特にこの仕様にこだわりはありませんでしたが、
これを作った方にはきっとあったはずです。
「色々考えてくれてたんだね」
そう思って頂けて私も嬉しくなりました。
小さな事かもしれませんが、こうしたことが全体に大きく影響するんですよね。
今日納品したレースです。
山はフレンチプリーツで。
裾は12㎝の折り返しです。
何の違和感もなくお客様に受け入れて頂けました。
お客様の玄関にはバラが咲いていました。
バラもまた、僕には皆同じに見えても、
好きな方にとっては小さな違いが大きい花なのでしょう。
そしてこの方 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10108680975 は
小さな違いに気付かなかったんだろうなあ。
(多分、「朝」を消し忘れたんだと思うんですが…)
採寸時に今ついているレースを拝見すると
山の裾だけを「叩く」縫製仕様になっていました。
無地のボイルレースですが、裾はウエイト巻ロックではなく折り返し。
「ちょっと長いな」と思って測ると12㎝ありました。
お客様と相談の上、
山に関しては今と似た仕様、裾は同じ仕様で作ることにしました。
あまり一般的ではない作り方ですが、
このレースとお部屋に合った方法だと思います。
お客様は特にこの仕様にこだわりはありませんでしたが、
これを作った方にはきっとあったはずです。
「色々考えてくれてたんだね」
そう思って頂けて私も嬉しくなりました。
小さな事かもしれませんが、こうしたことが全体に大きく影響するんですよね。
今日納品したレースです。
山はフレンチプリーツで。
裾は12㎝の折り返しです。
何の違和感もなくお客様に受け入れて頂けました。
お客様の玄関にはバラが咲いていました。
バラもまた、僕には皆同じに見えても、
好きな方にとっては小さな違いが大きい花なのでしょう。
小さな違いに気付かなかったんだろうなあ。
(多分、「朝」を消し忘れたんだと思うんですが…)
ラベル:
工事・納品
2013年6月14日金曜日
2013年6月12日水曜日
あなたの窓は裾から?それとも頭から?
正面の2つの窓には同じカーテンを付けます。
カーテンの柄合わせは、
製作の都合上「裾から柄合わせ」となるのですが、
(異なる丈のカーテンを作る場合、柄の始まりを裾から合わせる)
それだと左右の窓で柄の高さが合いません。
そこで発注書には「頭から柄合わせ」と記載します。
こうした横並びの窓は要注意です。
ラベル:
プレゼンテーション
2013年6月10日月曜日
ギリギリ攻めてます。
http://plusplan.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html
サイトーさんが、残業でセッセと考えた柄の割り振り。
写真は裏側。
ハリウッド映画アクションシーンを彷彿とさせるギリギリかすめ具合の柄と端です。(笑)
サイトーさんが、残業でセッセと考えた柄の割り振り。
写真は裏側。
ハリウッド映画アクションシーンを彷彿とさせるギリギリかすめ具合の柄と端です。(笑)
2013年6月8日土曜日
吹き抜けノスタルジー
お次は人気コーナー「今週の吹き抜け」のお時間です。
(そんなコーナーありません)
取引先の営業さんに、
「お客様から吹き抜けのシェードを洗濯したいって言われたんだけど行ってくれる?」
と頼まれて伺ったところ、なんと9年前に私が取り付けた現場でした。
本当にビックリ。
ナビをセットした瞬間に「ん?」と思い、到着して確信し、
お客様もインターホンに写った僕を見てすぐ分かったそうです。
そして鮮明に現場を思い出しました。
「あ~~……確か……1階と2階で5窓ある……」
2連梯子をあっちへこっちへ。
上って降りて、外して生地を外してセッティングして、また昇ってと大変でしたが、
洗濯している間、お客様と昔話に花が咲き、
とても楽しい時間でした。
9年前の自分の仕事とも再会しました。
「うわ~懐かしい!やったなあ!」と、
思わず吹き抜けで声を上げてしまいました。
窓枠のチリ(でっぱり)が50㎜近くあったので、
木材を切って窓枠に近い色に塗装したのです。
うん。正解正解。
一つ一つの窓に、やれることをキッチリとやる。
昔も今も変わりません。
(そんなコーナーありません)
取引先の営業さんに、
「お客様から吹き抜けのシェードを洗濯したいって言われたんだけど行ってくれる?」
と頼まれて伺ったところ、なんと9年前に私が取り付けた現場でした。
本当にビックリ。
ナビをセットした瞬間に「ん?」と思い、到着して確信し、
お客様もインターホンに写った僕を見てすぐ分かったそうです。
そして鮮明に現場を思い出しました。
「あ~~……確か……1階と2階で5窓ある……」
2連梯子をあっちへこっちへ。
上って降りて、外して生地を外してセッティングして、また昇ってと大変でしたが、
洗濯している間、お客様と昔話に花が咲き、
とても楽しい時間でした。
9年前の自分の仕事とも再会しました。
「うわ~懐かしい!やったなあ!」と、
思わず吹き抜けで声を上げてしまいました。
窓枠のチリ(でっぱり)が50㎜近くあったので、
木材を切って窓枠に近い色に塗装したのです。
うん。正解正解。
一つ一つの窓に、やれることをキッチリとやる。
昔も今も変わりません。
ラベル:
工事・納品
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